霞む視界の中、雨宮君の声だけが捉えた。
「あっ…め、みや…くっ…」
自分でも伝わらなくなってるのがわかった。
『雨宮君』、って言いかけたんだ。
でも、上手く言えなかった。
頬に暖かくてむず痒いものが伝う。
それに触れたとき、「あれ、泣いてるんだ」って思った。
いつの間にか出ていた。
涙でよく見えなかったけど、多分、今雨宮君は困っている顔をしてると思う。
ごめんね。
「実陽ちゃん？どないしたん？大丈夫か？」
案の定オロオロしたで尋ねられた。
私は「大丈夫」って笑おうとしたけど、顔がひきつっちゃって上手く笑えなかった
。
何で私はいつも友達を困らせる道なんだろう。
大丈夫、って言おうとしたのに、言葉なんてちゃんとでるわけがなかった。
