「あ、あの…白石さん…」
私は挙動不審に陥っていた。
「あぁ、今回は実陽ちゃんにお願いがあるんだぁ」
さっきと声色を変えない白石さん。それが逆に不気味でもあった。
「な、なに…?」
「あのさぁ、ゆかりと隼人君がつきあうのを阻止してくれる?」
笑顔でそうはなった。
「え……」
必死にしぼりだした声はそれだった。
「だって隼人君がゆかり好きなのはばればれだもん。私に関係ないからまぁいいかと思ってたんだけど、なーんかゆかりと隼人君が幸せになるなんて許せなくって」
笑顔でそう言った。反論できないでいる私に、
それに、と続けて白石さんは言った。
「手伝ってくれなきゃ実陽ちゃんの恋、邪魔するからね」
声のトーンがグッと下がり、そう伝えてきた。
「な、んで…白石さんが…」
「なんでって。見ててわかるわよ。まぁそういう事だからよろしくね」
それだけはなって勝手に帰って行った。
意味がわからない。私はどうすればいいの?考えれば考えるほど、ぐちゃぐちゃになって頭が混乱してくる。
そんな混乱している私に話しかけてきたのは。
「あ、実陽ちゃん。どないしたの…って、え!?何で泣いとるん!!?」
雨宮君だった。