文化祭もいよいよ近づいてきた今日。
もう残すとこ後二日だ。ぎりぎりに決めたのにも関わらず、作業は早いもので順調に進んで言った。
この調子でいけば明日には完成するだろう。


「みんなすごいね、弥生」

私は隣にいた弥生に声をかけた。
またしても弥生は上の空。

不思議に思った私が弥生をじっと見ていると視線に気づいたのか、「うわっ」と声を上げながら驚いていた。

「聞いてなかったでしょ?」

と笑いながら尋ねると、

「ごめん、考え事してた…悪いな」

と素直に謝ってきた。

「いいよいいよ。気にしないで」

と伝えると、「ありがとう」と一言残し、隼人と駿の方へ焦って行った。

どうしたんだろう…。あ、でも隼人と言えば、もうそろそろゆかりに告白するのか。
なんか親友に親友を取られた気分でなんか蚊帳の外みたいだ。

そうやってもんもんと考えていると、
聞き覚えのある声がした。

「実陽ちゃーん。ちょっといいかなぁ?」

高音で聞いててぞわっとするようなこの感じ。笑顔を向けられると直視できないこの人は。


「白石さん…」

そう。白石さんだった。

「美雪!?」

ゆかりが驚いたように声を荒げる。
それに反して冷静に、

「やだぁ、ゆかり。怖いよぉ。私は実陽ちゃんに用事があるのよ」

そして目で即行来いと言っていた。
私は逆らえるはずもなく、あとへ言われるがままに着いて行った。