「クラリネットだから、難しいからなーわかんない!」 吹奏楽部、アルトサックス5年の私に比べて 奈帆はクラリネット9年の歴を持っている 「麗美、あれって大輝じゃないん?」 奈帆が指差す窓の外 見えたのは 黒い傘 その中には バックに私とお揃いのくまのストラップ 「追いかければ?」 「ええよ、追いかけんでも。明日、なんかいってくるやろ」 そうやって、窓をカーテンで隠した 大輝と私の距離をシャットアウトするように。