「おう、新入り!茶」
「犬井さん、命令はやめてもらえますか?」

「はあ?狂犬、犬井正高さんと知っての狼藉か?おぬし撃たれたいか?ん~?」

「銃を簡単に俺に向けんでください」

「ああ~ん?なんか言ったか?紫藤。てめえは正式に親父と盃もかわしてない、素人中の素人!ど新人だろうが。生意気言うな」
「そうだ、ボケ」

ギャングファミリー
{バッドガイ}
その組織のボスの右腕の鉄砲玉
狂犬こと犬井正高は
今日も紫藤に絡む
続いて居合わせたもうひとり
鮫島直矢
バッドシャークの異名をとる
ボスの相談役である

大河はこのバッドガイの
駒使い的な存在として
仕事を受けてた
したっぱ中のしたっぱだ

大河の基本的な仕事は
ボスの息子
純の世話役だった

学校への送り迎え
買い物の付き添い
純の近況をボスに報告

手があけば殴り屋
見か締め料の催促
ヤクをさばく奴らから
ブツを押収、処分
見せしめに痛めつけたりもした

そんなふうに強盗よりも
いくらかマシな金銭的待遇を受けた

ボスの家、つまりは純の家に住み込みながら

序章 転機 完