『そうだったんだ…。』



輝さんの過去は衝撃的だった。

松風 蓮のときの件で、大変だったんだろうと薄々は感じてたけど――


…まさかここまでとは思わなかったよ。



すっごく変な人達だけど、あたしには両親がいてくれている。


でもそれって、当たり前のようで実はすごく幸せなことなんだな。


輝さんの話を聞かなければ一生気付かないままだったかもしれない。



「樹里に話したのはここまでだ。で、こっからが続き。

…響、だったな。もうあんたは感付いてるかもしんねぇけど――






















――『桜庭 輝明』は俺の本当の名前じゃない。」



………え………??

どういうこと――??!!



「『桜庭 輝明』は俺の恩人のその万屋の名前なんだ。その人は…本当の『輝明』さんは―――」



みんな息を飲んで次の言葉を待つ。
































「…もう、亡くなった。」



輝さんは瞳を閉じてそう言った。



「『輝明』さん、死ぬ直前に俺に言ったんだ。『俺の万屋を頼む』…ってな。」



誰も、何も言えない。


その場にいる全員が固まっていた。