「……………。」



輝さんは黙ったまま。

その顔からは迷いの色が見える。

弘さんもそんな輝さんのことを困った表情で見つめていた。



…こんなに動揺した輝さんと弘さんを見るのは初めてだ。



いつも冷静な2人が見せたこの反応には正直あたしもビックリだよ。



『…輝さん。』



あたしが声をかけると輝さんはあたしの方へ視線を向けてきた。



『あたしね…??今まで輝さん達に何があったのか触れないようにしてたんだ。他人が他人の事情に首突っ込む訳にはいかないでしょ?!』

「…………。」

『…でもさっ、やっぱり――あたし、輝さん達のこともっと知りたいよ。だって、あたしはもう万屋の一員で、輝さん達の仲間なんだもんっ!!!!他人の事情云々とか言ってる場合じゃないじゃん??!!』

「…………菜子…。」

『輝さん達が抱えてる辛さとか痛みとか、あたしも一緒に分かち合いたい…。みんなで一緒に持った方が軽いでしょ…??』

「…………菜子ちゃん…。」

『…だから―――』































そこまで言うと視界が真っ暗になった。



「…ごめんな。そこまで悩ませてたのか…。全部、話すから――。」

『…うん。』



あたしは輝さんに抱き締められていた。



そのとき輝さんの腕の中で、あたしは輝さんから本当の家族のような暖かさを感じた――…





「さっき樹里に少し話したんだけどよ―――」



輝さんはあたし達に自分の過去について話してくれた。