待ち合わせ時間ギリギリだ。

海に着くと、お店の前には既に樹里と諒の姿があった。



『ごめん待った??!!』

「も〜菜子遅〜…って、どちら様??」

『いやいや、思いっきり叶 菜子どす!!!!』

「本当に菜子?!こんなお洒落した菜子初めて見たんだけどっ!!ってかあんた最近変わり過ぎだから!!!!」

『う〜ん…あたしの意志で変わろうとしてる訳じゃないんだけどねー今日のだって。』



思えばあたし周りに振り回されまくりだよね。

今日だって、何でこんな格好させられたんだか…。
結局理由が分からない。

ま、いっか。



『…ん??諒どうしたの。』



あたしを見たままアホ面で固まっている諒。
ぶっちゃけ結構うけるぞ??その顔。



「…別に。」



諒はプイッとそっぽを向く。



『何さ〜相変わらず愛想無いヤツだよねっ!!そんなんじゃモテないよ?!』

「安心しろ。お前程じゃないから。」

『ムッカぁ〜!!!!頭来るなぁもう!!』

「ムッカーって効果音、普通口で言わないだろ!!」



ぎゃぁぎゃぁと騒ぐあたしと諒。

諒と顔を会わせればいつもこうだ。
お互い何かと相手を挑発し合う。



「ほらほらあんた等いつもうっさいよ?!嵐くんも呆れてんじゃん。」



あたし達を止める役はいつも樹里。お疲れっス!!

まぁそう思うなら止めろって樹里ちょんに殴られそうだから言わないけどねっ。



嵐はというと……別に呆れた様子ではない。

いつも通りだ。


しかし、何故か嵐は諒のことをじっと見つめている。
その視線に気付いた諒も負けじと嵐を見返す。



「………。」

「………。」

『………??』

「…あら大変。」



後で樹里から言わせてみれば、あの時の二人の間には火花が散り始めていた………らしい。



―――何故に??