「ちゃんと話すから。」
そう言って、お母さんは私に向き直った。
「あの時、お母さんね。仕事が上手くいかなくて、あなたを養っていくお金もなかった。
それでも、あなただけは手放したくなかったのよ。
だけど、お父さんが暴れだして私じゃ抑えきれなくなっていたのよ。」
え……?
あんなに優しかったのに。
「でも、お父さんとの暴れる姿なんて見たことないよ。」
「胡桃の前ではね。」
「でも、胡桃が寝た後になるといつも暴れだすのよ。
だから、私はあなたにも同じ苦しみを味わって欲しくなかった。
だから私は、あなたに嫌われるために化け物っていって手放したのよ。」
そう、だったんだ。
私は、静かに涙を流した。