勢いよく準備室のドアを開く。そこには、蹲っている鈴森先輩の姿。
怪我でもして、動けないのだろうか。嫌なことばかり頭に浮かんでいく。急いで彼女に駆け寄る。
「_____っ、大丈夫ですか!?」
「え...っ?」
先輩の細い腕を掴んで、言った。焦って声を荒げてしまう。でも、なりふりなんてかまってられなかった。そんな俺に、驚いた顔の先輩。
「すごい音しましたけど...怪我とか、」
「えっ、あ!ご、ごめん、ただ筆入ってる箱落としちゃっただけ...だから、大丈夫だよ」
言われて、ちゃんと床を見てみたら、あちらこちらに筆が散乱している。それらを見て、拾うためにしゃがんでいただけだと知る。
...早とちり、した。
「すいません...」
顔に血が昇る。恥ずかしくて、両手で口を覆った。
そんな俺に、鈴森先輩はいつもと変わらぬ悩殺スマイルを俺に向けてくるもんだから、さらに熱くなっていく。
思っていた以上に、俺は先輩しか見えなくなっていて。
________だから、気づかなかった。気づけなかった。
それぞれが抱えた、隠した気持ちに。