「...なんで、気づいたんだ?」



表情には出にくいはず...だったのに。別に、ばれたところで気持ちが変わるわけでもないし、いつかは伝えるものだし別にいいんだけど。


でも気になって訊いてみると、即答だった。



「え、だって普段女子と必要事項以外喋んないのに、鈴森先輩にだけは自分から積極的に話すじゃん」



指摘されて、思い返してみる。

...確かに、言われてみればそうかもしれない。



「それでか...」


「うん。結構わかりやすいよ」



わかりやすいとか、初めて言われたな。

そんなことを思っていれば、村山は眉を下げて笑いながら、言う。



「お互い先輩を好き同士。だからなんか、言ってもいいかなって。それにさ、桐山は秘密って言ったら絶対に口割らなさそうだし」



...これは、村山と俺の共通点。



「そろそろ戻ろうか」


「...ああ」



立ち上がりそう言った村山に同意して、俺たちは部室へと向かった。