鈴森先輩も、どうなんだろうか。
誰に対する態度もあまり大差ないから、よくわからないのだ。とは言え、先輩が話す男子はごく数人。他の男は先輩を敬遠してあまり話しかけないのだと思う。北岡先輩はその中でも特に仲のいい異性だろう。
ふたりの、話している姿はよく見かける。
でも、その時の先輩の態度は、彼女が部長に話している時となんら変わりがない。
俺に対しても、きっとそう。
何も変化なんてしていない。でも、話せているということは、俺にとっては嬉しいことで。
帰り道、同じ道で肩を並べて歩くのも、廊下で出会ったら名前を呼んでくれるのも。先輩にとってはなんてことないことだとしても、俺にはとても貴重なことなんだ。
...なんて、女々しいな。やめよ。
頭の中をからっぽにするために、俺は筆を取って手を動かした。