あまりに気まずそうな顔をするから、もっと違う、大変な話なのかと思ったら。全然そんなことはなくて、逆に普通すぎてあっけにとられてしまう。
それだけのことを言うために、どうしてそんな顔をするのだろうか。
村山にとっては一大事なんだろうか。
第一、彼女が今までに部活に休んだことは数回ある。そのときは俺を通さずに部長に直接伝えに行っていたはずだ。
というか、休むという連絡は普通そういうものだろう。
本人が、部長に伝えるもの。
「...自分では言いに行けない理由があるのか?」
「えっ、...」
俺の問いに、酷く動揺する村山。
やっぱり何か、理由があるのか。聞いてほしくなさそうだから、別に聞きはしないけど。
「わかった。伝えとく」
「あ、ありがとう。じゃあ」
「ああ」
俺が了承すると、村山はほっとした様子で、廊下を歩いていった。