思わずピタリと足が止まる。まさか、振り向くだなんて。思ってもいなかったから。
周囲が暗くて、相手の表情はよく解らない。
でも態度とかで、ちょっと戸惑ってるんだろうなって、思った。ポケットに突っ込んでた手で、頭掻いたりしてたから。
桐山くんは、はわたしに向かって、控えめに一礼した。
そして彼は、立ち止まっている。
...それって、わたしを待ってくれているって、そういう意味で捉えていいの?
わたしは駆け足で彼の隣へと立った。
...この彼に対する気持ちが何なのか。
わたしにはまだわからない。明確なものはない。でもきっと、これから解っていける。そんな気がしていた。今は、わからないままでもいいと思った。
今はただ、彼の隣で笑っていられるこの関係を、
大切にしたいと思った。