「俺も、決めた」
「お?どこ?」
唐突に言えば、駿は興味津々に訊いてきた。
「...美術部」
宣言、のように、言った。駿の反応はというと、きょとんとしていて、目をぱちくりと瞬きさせた。
それからそいつは目を丸くして、素っ頓狂な声を上げた。
「美術部ぅ?」
「...何だよ」
軽く眉間にしわを寄せると、駿は慌てたように俺を宥めようとした。別に、怒ってはいなかったんだけど。こいつの目にはそう見えたらしい。
「いや...泰生が美術部って、ちょっとびっくりしただけ」
「あそ」
「あーでも、お前中学ん時美術の成績はいつも良かったもんな!」
"は"ってなんなんだ。
確かに美術だけはいつも良い成績で、あとの教科の成績は見てもため息をついてしまうような数字だったから、何も言えはしないけど。
「絵上手いし、いんじゃね?頑張れ」
「...ん」
俺が返事をしたところでちょうど、1時間目の始まりを合図するチャイムが鳴った。