...弱かった?


「で、でも力強かったよ?」



壁に押し付けられたとき。全然振りほどけなくて、足が石みたいに固まったのに。



「女子の力からしたら強いかもしれませんけど、男の中では弱いんですよ。俺も蹴り飛ばした時ちょっと思いましたけど」



女子と男子の力の差って、恐ろしいな。

改めてそう思う。



「それで急所狙ってそいつが倒れ込んでる隙に先生呼んで、生徒指導室行きです」


「じゃあその友達は無事だったんだ」


「はい。もうしてこないと思いますよ。お怒り食らったら嘘みたいに大人しくなったらしいです。ちなみに3年生だったんですけど」


「そうだったの!?」



上靴の色を確認することもしなかったな。道理で見たことない顔だと思った。


でもすごく、安心した。



「ほんと、ありがとう。桐山くん」


「いえ」



そしてわたしたちは、それぞれ部活動に集中した。