驚くことが多すぎて、それも忘れていた。

だけど今そう言われて、再びさきほどまでの空腹がわたしを襲う。



ちらりと廊下の天井にある時計を見ると、あと10分ほどで昼食休憩は終わろうとしている。今教室に戻って弁当を食べ始めたって、食べる時間はほんの数分しか残されていないだろう。


だからって何も食べずに授業は厳しすぎる。



どうしようか。

手を腰に当てて考えていると、目の前に何かが差し出されて、また驚く。



「良かったらどうぞ」



わたしの手の上に無理矢理乗せられたのは、焼きそばパンと紙パックのお茶。

それらをわたしに押し付けるように渡した彼は、階段の段に座った。そして、もともと持っていたビニール袋からまた別のパンを取りだし、食べ出した。



「...えっ、でもこれ、桐山くんのパンでしょ?」


「いいですよ。昼飯なしで授業受けさす方が俺にはできません」