振り向くとそこには、1人の男子生徒。わたしを、呼び出した人。
誰...?
記憶にないその顔に、まずそんな疑問が浮かぶ。というかわたし、来たとき誰もいないと思っていたのに、わたしの後ろにいたの?
どうしよう、なんか。
怖い。
微笑を湛えて近づいてくるその人に警戒して、わたしは立ち上がった。
「来てくれてありがとう」
「...いえ」
もう名前なんてどうでもいい。早く帰りたい。
第一印象で決めつけてしまうのは失礼だってわかってる。それでも、怖いって脳が勝手に反応しちゃってんだもん。
「あの、急いでるんですけど」
「そうなんだ、呼び出しちゃってごめんね。俺もちょっと緊張しちゃっててさ...」
そう言う割には、笑ってて。やっぱり怖い。
恐怖が全身を駆け巡る。
「まあ解ってると思うんだけど...星乃ちゃんの事、前からずっと好きなんだ」