わたしが丁度くくり終えたとき、慶哉が苦笑いを浮かべてそう言った。
ぱっと顔を上げてわたしたちの周囲を見回す。
「....」
黙り込んでしまう。
慶哉の言う通り、だった。
ここは、わたしたちの教室だ。慶哉は1年のときから今も同じクラスで、そして同じ部活。だから仲が良い。わたしにとっても、慶哉にとっても、わたしたちはお互い良き友人だ。
でもそれを良くは思っていない人がいるらしい。
原因は、わたし。
周りの人は皆、わたしを可愛いとかなんとか言う。ずっと言われ続けて、お世辞なのかとまともに受け入れなくても、また言われて。徐々に染み込んでいって。
自意識が高いと言われるかもしれない。でも、言われ続けて、受け入れない方がおかしい。
わたしは、"可愛い"と言われる部類なんだと。
「...ごめん」
「何、急に謝ってきて」
わたしが誰と仲良くしようと関係ないのに。悪意の籠る視線はいつも、わたしではなくわたしの傍にいる人に向けられてしまうから。
いつも、申し訳なさがこみ上げるんだ。