「まあ、来週からあるんだよ。1週間ぐらい、仮入部期間が」



言われて、教室の中にあるカレンダーを見た。今日は金曜日。その仮入部とやらはきっと、月曜日からあるんだろう。



...仮入部、か。



この高校は、家からいちばん近いから、という理由で選んだ。

近いとはいえ、電車で2駅だけれど。


まあそれは置いておいて。そんな理由で選んだから、入学してからの部活だとか、そういったことは一切考えていなかったのだ。



「ちなみに、帰宅部は認めないらしいぞ。そのうち辞める奴とかは出てくるだろうけどな」



人の席だというのに、駿は俺の隣にある机に座ってそう言った。その言葉でまず、1つの選択肢が消え去った。


帰宅部はなしか。

...面倒くせぇ。



「今泰生、面倒くさいって思っただろ」


「...」



なんなんだ。俺の心情が読めるだなんて、男同士なのに気持ち悪い。

とはいえ図星で、否定はできない。何も言えず俺が黙ると、駿はそれを理解して、苦笑した。



「...まあ、運動部はナシだな...」



ぽつり、呟いて、右膝をさすった。