狭い室内のため、見渡さずとも誰かが奥で倒れているのが見えて、ヒヤリとする。俺は慌てて駆け寄ってしゃがんだ。
俺に気が付いたのか、手がわずかに動いた。
意識があることに少しだけ安堵して、その人の名前を呼ぶ。
「坂田、先輩?」
「...桐山くん、」
自力で起き上がろうとする先輩。その肩に腕を回し、ぐい、と彼女の体を起こした。それが急すぎたのか、彼女がよろけて俺に凭れかかった。
「!...ご、ごめん」
「あ、いえ。大丈夫ですか?」
「うん、大丈夫...ありがとう」
その大丈夫って、信用していいんだろうか。疑うのもなんだし訊きはしないけど。
「すごい音しましたけど、どうしたんですか?」
訊くと、先輩は苦笑いした。
「あー...そこの棚の奥にある画材取ろうとして、椅子乗ってその手前のダンボール除けようとしたら想像以上に重くて。バランス崩したの」