駅は学校から10分程度。いつもこの道をひとりで歩くとき、それすら怠くて、もっと駅が近ければいいのに、と思っていた。
だけど今、先輩がとなりにいるというだけで、どうしてこんなに短く感じるんだろうか。
もっと話していたい。欲が出る。
なんて俺に言いだせるはずもなく、俺と先輩は定期を通す。
「桐山くんは地元どこなの?」
ここの駅はわりと広い。だから、行き先によってはホームの位置が変わってしまう。どこで別れるのかを知るために、きっと先輩は俺に訊いたんだろう。
俺への興味、では、ない。
そう思っていないと、変に想像してしまうから。
「えっと...××です。ここから2駅乗り継ぎで」
「えっ?」
目を丸くして驚く彼女。
何か、そんな顔をさせるようなことを言っただろうかと、頭にはてなを浮かべる。考えても解らないから、先輩を見つめた。
そのあとに続けられた言葉で、驚きの意味を知る。
「わたしも××なんだけど...」