部活は、基本月曜から金曜まであって、土日はほぼない。たまに部員と顧問で美術館に行ったりするらしいが、それはいつになるか未定のようで、俺はまだ行ったことがない。
そして今日も、部室へと向かう。
もう見慣れてきた扉にかけられている板。ガラリと音を立てて開けた。
「お、こんにちは」
「...こんにちは」
室内には、この部の部長、仁科和希。
貴重な3年部員。仮入部のときは熱がなかなか下がらなかったようで、最終日の日に漸く姿を現した。黒縁のメガネをかけていて、真面目な雰囲気を醸している。実際、真面目だが。
そしてその奥、俺の存在に気が付き無言で会釈したのが、村山琴音。俺と同じ1年だ。
なんと美術部への入部者は、俺と村山のみ。こんなにも人気のない美術部も珍しいと思うが、それほどまでに活動が活発ではないのかもしれない。
「こんにちはーっ!」
バン、とドアを勢いよく開ける音。元気な声。
俺の心拍は一気に上昇する。
ちょうど一緒に入ってきた北岡先輩が顔をしかめ、耳を両手で塞いだ。
「星乃...耳痛ぇよ...」
「え?そんなでかかったかな?」
「近かったから余計」
「じゃあ慶哉も負けないくらいおっきな声で挨拶だ!」
「なんでそーなんだよ」
「いて」