否定は、しない。


駿の言う通り、鈴森先輩は誰もが認める美人なのだ。

それはもう、そこらの芸能人よりも。飛びぬけて端正な顔立ちをしているのだ。



頭のてっぺんに近い位置で縛られた枝毛1つない綺麗な黒髪。

センター分けされた前髪が少しかかる、釣り目でもたれ目でもないぱっちり二重の目。整えられた眉。鼻筋の通った小ぶりの鼻。形のいい薄めの唇。それらのパーツが、小さな顔に収まっている。



極めつけは、147cmという小柄な身長。



失礼を承知で聞いてみたところ、案外ふざけながら教えてくれた。本人も小さいことをネタにしている様子。


だけど、スタイルは良いのだ。


そんな先輩であるから、モテないなんてわけがなく。告白で部活を遅れて来たこともあった。それでも彼氏はいないのだと言う。



...なんて言ってると、自分までも気持ち悪く思えてくるが。



「でもあれだな」


「あれ?」


「なんか、お前さっき違った」


「は?」