____数週間後。



「泰生、部活どんな感じなんだよ。全然聞かねぇけど」


「どんなって、まあ...普通に。ていうか、お前が話しすぎなんだよ」



次の時間が化学で移動教室のため、俺は駿と理科室へと向かいながら話していた。



俺は、美術部に入部した。

駿も言っていた通り、弓道部に入部。とてつもなく楽しいらしく、何かあるごとに聞かずとも俺に報告してくる。話したいだけなんだろう。



入部の決め手は...単純に、絵を描くのが楽しいと思えたから。

あんなに集中できること、久しぶりだ。いつも本気になれなくて、何にも熱中できなかった俺が、楽しいと思えるのだ。それはたぶん、少ない中の1つで。他に続けられるものなど見つけられないと思った。



それから______



「あっ、桐山くん!」



下を向いて歩いていたため、前方から聞こえた声に反応して顔を上げた。

俺を"桐山くん"なんて遠くから叫ぶ人なんて、そういない。



「...鈴森先輩」



名前を呟いて、お互い足を止めないでいるから、小さな先輩がにこにこと手を振りながら近づいてくる。