雲はいつも通りに流れているように見えて

悲しそうになんてちっとも見えなかった。


そんなボクの考えがわかったのか
キミはこう言葉を続けた。


「…見てればわかるよ。きっと」


そう言ってキミはまた窓の外に目をやった。

ボクも窓の外を見ていた。


…いや、本当は違ったんだ。


ボクは窓の外を見るフリをして

キミを見ていた。


よく見ると整っている横顔。

少し垂れた目がかわいいと思った。



そういえば笑った顔を見たことがない。

どんな顔をして笑うんだろう。

キミの笑い声はどんななんだろう。


考えれば考えるほど興味が湧いた。

でもボクはそれを認めなかった。

認めたらキミを好きってことになってしまう。

小学5年生にとってそれは気恥しいもので。


頑なに認めようとはしなかった。




けれど





悔しいけどボクは
とてもキミに興味があったんだ。