ボクは勝手にそう思っていた。


「…やっぱり無視かよ」

『空が…好きなの…』

「え…」

初めて聞いたキミの声だった。

消えてしまいそうな掠れている声。

ボクは寝転んでいた体を思わず起こした。


しばらく時間が止まったようだった。


キミは下を向いたまま動かなかった。


ボクはなにか言葉を続けようと考えた。


そしてまたボクは驚いた。



『もうすぐ…雨が降るよ』


キミの方から言葉を続けてきたのだ。


「なっ…なんでそんなことわかんだよ」

声がうわずってしまう。

『わかるの。毎日空を見てるから。
雲の動きが、なんだか悲しそうだもの」


小学5年生のボクにはよくわからなかった。