「櫂が一途に美菜の事想ってるみたいに、あたしだってずっと櫂の事想ってるんだよ?
中学の時だって、高校が別々になったって、今だって。
振り向いてもらいたくていっぱい努力だってしたよ
勉強だって、運動だって、綺麗って言ってもらえるようにオシャレも頑張った。
ねぇ…
あたしはどうすれば櫂に好きになってもらえるの?」
ソファーに横になってた俺に詩織はいきなり飛び乗ってきた。
目は涙でいっぱい。
いきなりどうしたんだよ
どうすればって…
詩織が俺の事を好きでいてくれてたのは知っている。
冗談まじりのも含めて何十回って告白されたから。
断っても、断っても
それでも俺の事を好きって言ってくれた。
詩織は髪の毛は栗色でサラッとしたストレート、目は二重で、形のいい高い鼻、綺麗な白い歯、ブルッと濡れた唇。
中学の時とは比べものにならないぐらい美人で大人っぽい。
まだ
俺の事を好きでいてくれたなんて。
「お願いだから少しは好きになってよ…」
そう言って詩織は俺の口に強引にキスをしてきた。
舌を絡ませる熱いキス。
俺が作ったクリームソースの味がした。
詩織の涙が俺の頬をつたう。
突然で驚いたけど、何も抵抗しなかった。
ずっと頭の中にいる
美菜が消せると思ったから。
俺は“また”あの時のように詩織で悲惨な過去を忘れようとしてる。
最悪な男だ――…