「ほらっ」
「いいの?ありがとー♪」
おごってあげたりんご飴を幸せそうに受け取る彼女。
ほんと…小学生みたい。
一緒に歩いてる時もとにかく彼女は1人で喋っていた。
自分がファッション雑誌の専属モデルをやっている事。
好きな食べ物はオムライスとレバ刺しだって事。
高校の時にもサッカー部のマネージャーをやっていた事。
他にもなんか色々…。
別に俺から全然聞いてないし、そんなに興味もないのにさ。
あまりにも楽しそうだから俺は頷きながら話を黙って聞いてた。
「ねぇー櫂ってまだ会ってから一度もあたしの事名前で呼んでくれないよね?
あたしも未菜って呼び捨てでいいんだからね!!」
「はぁー…」
「元気のない返事だなぁ………
わかった!!
もしかしてあたしの名前が好きな女の子と同じで呼ぶのが恥ずかしいとか!?」
「ぷっ…!!バカっ…」
俺は思わず飲んでいた缶コーヒーを吹き出してしまった。
「ウソ?図星?」って言いながら俺の背中をさする彼女。
なんか
森山未菜と一緒にいるとすげぇ調子が狂うな…。
こんな強引で変な奴、久しぶり会った気がする。
それに
なんだか懐かしくて、心地よい感じもするんだ。