「じゃあ未菜ちゃんは櫂に任せて、俺達は行くか!」


「うんっ!櫂くん、未菜の事よろしくね♪」


勇馬と千夏ちゃんはそう言い残して、人混みの中に消えていった。

無責任な奴らだな…。


これから2人でどうすんだよ。



「じゃあとりあえず……りんご飴食べよ!!りんご飴!!」


能天気な事を言う森山未菜。


こいつ違和感ないのかよ?


付き合ってもないのに、俺ら2人だけで祭りなんて‥。



「ほらっ、早く行こー!!」


「ちょっ・・・」


俺の手をいきなり掴んで走り出した。

無邪気に笑う森山未菜。

コイツ何も考えてねぇーな。


しかも

その笑顔が腹が立つぐらい

美菜に似てる――…


強引なとこも、活発なとこもどこか美菜と重なってしまう。


ただそれだけで

何だか冷たくできねぇーんだ。


俺は横顔に少しだけ見とれてしまっていた。