神社に着くと夜店が立ち並び、溢れかえるほどの人だった。
それだけでもう帰りたくなる。
急いで飯食べたからちょっと気持ち悪いし。
祭りなんて本当ガキの頃以来だ。
「おーい、こっちこっち」
変な神社の銅像の前で手招きする千夏ちゃん。
白と黒と紫の色鮮やかな浴衣を着ていた。
それにしても気合いが入りすぎでいつもより化粧がケバイ…。
あれっ?
もう1人がいないな。
と思ったら・・・
「わっ!!」
後ろからいきなり大きな声で、俺を驚かせるように森山未菜が肩を叩く。
「もぉーちょっとは驚いてくれてもいいじゃんよ!!」
口をプクーっと膨らませて怒る。
周りがにぎやかすぎてイマイチ声が聞こえなかったし。
「それよりさ、似合うかな?」
そう言って俺の前でクルッと一回転。
薄いピンク色で花柄の入った浴衣を着ていて、長い髪をアップにしているからいつもよりか整った顔がはっきりと見える。
「いいんじゃない?」
俺は恥ずかしくってそんな事しか言えなかった。
「櫂らしいなぁ〜
お世辞でもちょっとは褒めてよ〜久しぶりなんだよ、浴衣」
クスッと笑う彼女。
別に俺だけじゃなくて、ここにいる誰に聞いたって綺麗って言うと思う。
それぐらい輝いて見えた。