「迷子?」
背番号8って入ったピンク色のビブスを着た櫂くんが不思議そうな顔して、あたしの後ろに立っている。
ってか…
そういう冗談っぽい事言うんだ。
大学で迷子になるわけないじゃんよ!!
「サッカー部ってどんな感じかなーと思って見学に…」
「ふーん」
「櫂くん今から試合出るの?」
「まあね」
「じゃあ…頑張ってね」
「はぁー」
そう言って櫂くんは階段をかけ下りて、グランドに向かって行った。
短い返事。
相変わらず素っ気ない態度。
冷たいなぁー…。
もうちょっと何か話してくれてもいいのにさ。
昨日会ったばっかりだからしょうがないよね…。
まだお互いの事何も知らないし。
あたしはまたグランドの方に目を向けた。