「そうそう…櫂くんってサッカーすごい上手いんでしょ?Jリーグからたくさんスカウトきたって。
どうしてプロにならなかったの?」
話が変わって、また俺への質問が千夏ちゃんから飛んでくる。
それは
俺が一番聞かれたくない事。
「関係ないから…」
俺は冷たく答えた。
「えぇーなんかそうやって言われると気になる!!」
「へぇーサッカー得意なんだ〜」
「櫂は高校の時も県大会のMVP。地元じゃちょっとしたヒーローだからね!!」
やめろよ…
俺は本当はサッカーなんてやる資格ないんだから。
俺はただ
ただ・・・
「先に行くわ。練習あるし」
俺はその場から逃げるように、学食を出た。
今でも思ってしまう。
俺はサッカーをしていていいのかって…。
あの日さえなかったら、きっと健哉だって好きなサッカーをしていたんじゃないか。
そう考えるだけでギュッと締めつけられるように胸が苦しくなってしまう。
健哉は俺の事をどう思ってるんだろうか――…