「ふーん、恋しないんだ」


俺は声の方に振り返ると、ミートソーススパゲティの乗ったトレーを持った森山未菜がいた。



「ここいい?」


空いていた俺の横の席に座った。

少しざわつく学食内。


やっぱり彼女は学内でもかなり人気があるんだろう。

男女問わず視線が一気に俺らのテーブルに集まる。


気まずいから帰りてぇ…。



「でも、櫂くんそんなかっこいいのに彼女いないって謎だよねー」


千夏ちゃんがコーヒーを飲みながらそう言う。

やっぱり顔か…



「千夏は面食いだからね…
でも、人は中身だって、あとビビっとくるような直感!!」


「そんなこと言ってるから未菜だってずーっと彼氏できないんだよ!!」


「いいの!!恋愛は無理してするものじゃないもん。あたしにだって運命の人がいるんだから…」


「だってそれは中学の頃の話でしょ?もういい加減忘れるのも勇気だって!!」


「そんなに簡単に忘れられたら苦労しないもん…」


急に学食内で言い合う2人。


俺と勇馬は完全に蚊帳の外で、呆気にとられて目をパチパチさせてボーっとしていた。



けど


俺がなんとなく思っていた“森山未菜”の第一印象とはだいぶ違っていた。