【正宗】

「ねぇしゅっち、今のまっち素の自分出してるっすよね?」

「そうだな、何か理由があるんだろ?」

「そうなんすかりょっち?」

「そうだね、まぁこの二人は知り合い同士だから」

隣では、三人が小声で何か話しているけど、そんなのはどうでもいい。

さっきの質問は、俺から蘭への意地悪だ。

俺の好きな食べ物が分かるのは、かなめと涼介と俺だけだ。

「どうした?早く言えよ」

こいつには、猫被んなくたっていい。

視線を下げながら色々と考えているようだった。

「答えられないなら次にーー」

「ケーキ!」

「っ?!」

「チーズケーキ」

『チーズケーキ』と、蘭は俺の質問にそう答えた。

「な、何でチーズケーキなんだ?」

理由を蘭へと問う。

「だって、チーズケーキを食べているところしか見た事ないもん」

「えっ?!」

そういえば、あの店で俺はチーズケーキしか頼んでいなかったよな?

「色々考えてみたんだけど、チーズケーキ以外浮かばなくて、それにお兄ちゃんのお店でケーキ貰って行く時、殆どチーズケーキ類だったし」

隣に居る三人の視線が俺に向いていた。

「な、なんだよお前ら」

「別に〜」

三人揃ってそう言われると、腹が立って仕方がない。