「つ、次の質問は、す、好きな男性の好みはなんすか?」

「えっ?」

「はっ?」

「ていうか、誰か付き合っている奴居るっすか?」

至流婆の質問は、オーディションと関係ない。

俺が至流婆を止めに入ろうとした時、涼介に止められた。

「今は至流婆が質問しているところだ。至流婆の好きにさせるんだ」

「だけど、こんなのオーディションと関係ないだろ。プライベートの質問だ!!」

「だけど、これは至流婆にとって初めての経験になるんだ」

「でも……」

女を好きになったって……。

「えっと、付き合っている人は居ません。す、好きなタイプの男性は……」

「男性は?」

「男性は……、至流婆君みたいな人です!」

「えっ……」

相馬は顔を赤くして視線を逸らした。

質問した本人でもある至流婆も、相馬から視線を逸らした。

これが、両想いっていうのか。

俺には理解できなかった。

両想いになることが。