「改めて、名前と歳を言ってほしいっす」

「相馬心愛、十五歳です」

十五歳か。

「オーディションを受けた理由は何っすか?」

「はい、私ドジで、泣き虫で、怖がりで、何もできなくて」

おい、いきなり自分を貶し始めたぞ。

「私は居なくても良い存在なんじゃないかって、思った事があるんです」

その言葉に、俺の心臓は高鳴った。

『俺が居なければ、姉さんは』

そして、あの時の事がフラッシュバックした。

でも、直ぐにそれを振り払う。

「そんな時COSMOS の曲……、至流婆君の曲を聞きました」

「俺の曲っすか?」

「はい!至流婆君の曲を聞いて、私は勇気を貰いました。私は居ても良いんだと思いました。私は変わりたいと思いました」

「……」

至流婆は、頬を赤らめて相馬を見つめていた。

「だから私も、自分みたいな人が居たら元気づけたい、そう思って今日受けました」

「そ、そうですか……」

至流婆の顔は更に赤くなっていく。