「可愛い」

「はっ?」

「え?!」

至流婆はそう言うと女の手を握った。

急に至流婆に手を握られた女は戸惑っていたけど。

「君、名前は?」

「えっ!……そ、相馬心愛です」

「心愛ちゃんっすね、名前も凄く可愛いっす」

これは多分、もしかして。

「至流婆の奴、あの子に一目惚れしたみたいだね」

「そうみたいだな」

「……」

至流婆の初恋が生まれた。

前に一度至流婆に恋をした事があるかと聞いた時、あいつは。

『そんなのないっすよ』

真顔でそう言った。

「じゃぁ、気を取り直して、質問と行くっす」

「は、はい」

眼鏡をかけた相馬は、さっきよりは緊張していないように見えた。