「それで、今日受けに来たのか。次に得意な事は?」

「歌」

一言だけかよ。

「嫌いな食べ物は?」

「なす」

なんだこの重々しい空気、二人の性格が似ているせいか?

「最後にこの中の誰を越えて行きたいか?」

「はっ?」

阿修羅の質問に南雲は、もう最初から答えが決まっていたように、すぐに指をさした。

「お前」

南雲が指を指したのは、阿修羅だった。

「理由は?」

「私と似ててうざいから」

流石にその言葉は阿修羅には。

俺達は横目で阿修羅の様子を伺った。

「ふっ」

でも、阿修羅は軽く笑っていた。

「面白い」

そして、小さくそう呟いた。

「質問は以上だ」

南雲は立ち上がり、頭を下げずに出て行った。

南雲が出て行ってから数秒、俺たちの間で沈黙間が漂った。

「な、なぁしゅっち、もしかして……」

至流婆が考えていた事は、俺も考えていた事だった。

「あぁ、一人決まった」

と阿修羅は言うと、南雲が出て行った方向をじっと見ていた。