「心愛ちゃん?」

さっきも暗い表情を浮かべていたけど、心愛は何でここに居るんだろう?

「心愛ちゃんは、何でこのオーディションを受けに来たの?」

「それは」

「良かったら、話してくれると嬉しいな」

心愛は、数秒黙り込むと、私に顔を上げて話してくれた。

「私がここに来たのは……、自分自身を変えたかったからです」

「自分自身を?」

「はい、私は昔から何も出来なくて、泣き虫で怖がりで人見知りで…」

なんか自分を凄く貶しているようなんだけど。

「もう自分は、居ても居なくても良い存在なんじゃないかって、そう思った時があって」

「うん」

「そ、そんな時に至流婆君の、COSMOSの曲を聞いたんです」

「猛冥陰至流婆の曲を?」

心愛は、頬を赤くしてそう言う。