「でも、まっちはこういうの嫌いっすよね」

「はっ?」

「だって、まっち女の子嫌いっすもんね」

「確かに、女嫌いの正宗にはキツイな」

「はぁ?!」

い、いきなり何言うんだよ至流婆と阿修羅のやつ。

「なんだよいきなりお前等!俺に喧嘩でも売ってんのかよ」

俺は胸の前で拳をボキボキと鳴らす。

「べ、別にそういう意味じゃないっす!まっちの場合いつも猫被ってるから、本性が出ないかどうか心配で」

「そんなの心配いらねぇよ。つーか逆に本性出しておいた方がいいか?」

「いや、それは出さないでほしいっす」

猫被ってやり過ごすの疲れるんだよなぁ。

歌を歌う時やテレビ番組にも出るとき、猫被ってるから疲れが凄くたまる。

「オーディションね……」

その時何故か蘭の顔が浮かんだ。

「まただ」

俺は額に手を当てる。

ここ最近、何故かあの女が俺の頭の中に出てくる。