「ほら蘭行くよ、次の授業に遅れちゃう」

「ま、待ってよ里音」

「早く早く!あの人が行っちゃうじゃん」

「ま、また?」

里音と私は、急いで階段を駆け下り、教室近くの角で息を整える。

「ほら、もうすぐ通りかかるよ」

「はいはい」

授業に遅れるとか言っときながら、好きな人が通りかかる為に走るとは。

「来た!」

「はぁ……」

現在の里音の瞳は、乙女心いっぱいで輝いています。

「うーん、やっぱりかっこいいな龍平先輩」

里音の好きな人は、二つ上の小坂龍平(こさかりゅうへい)先輩。

かなめ先輩と同じクラスで、この学校の生徒会長だ。

「でも里音、あの人彼女居そうだけど」

「何を言ってるのよ、居るわけないでしょ」

そう言い切れる里音は凄いと思う。