「予想通りだよ。お前さ、俺の顔見てもあーっとか、キャーッとか、言わなかったから」

「す、すみません」

「別に謝ることなんてないよ」

「じゃぁ、何で私に名前を教えてくれたの?」

「それは、お前が名前を聞いてきたからだろ」

「そ、そうだけど」

確かに私が正宗の名前聞いたけど、アイドルの人がそう簡単に名前教えたくれるものなのかな?

「それと」

「なに?」

「お前が俺の事知らないなら、教えてやってもいいって思ったんだよ。ケーキだって貰ったし」

私は瞳を瞬いて正宗をじっと見る。

「そ、それだけ?」

「それだけだよ、他に何があるんだよ」

正宗は再び紅茶を口に運ぶ。

それだけなんだ。

ちょっと嬉しいな。