「どうしたの?」

正宗は私の質問を無視し、鞄の中から蜂蜜が入った小瓶を取り出す。

そして、その蜂蜜を私の紅茶の中へと注いでくれた。

「喉が痛い時は、蜂蜜の入った紅茶が喉に効くんだよ」

「へぁ、そうなんだ」

「こんなの常識だ」

そんな事を言うけど、私の為に入れてくれたんだよね?

「なんか、今日の正宗は優しいね」

「はぁっ?」

紅茶を飲もうとした正宗が、低い声でそう言う。

「お前、俺を何だと思ってんだよ?」

「え?意地悪で生意気で何考えてるか分からない人」

「おい、それは嫌味として受け取っていいな?」

「だ、だって本当の事じゃん!で、でもね」

「ん?」

「でも、ちゃんと優しいって思う事や、良い人とか可愛いとか、そんな事もたまに思うよ」

正直な気持ちを、正宗へと伝える。

「……」

だけど、そんな私の気持ちを聞いた正宗は、私から視線を逸らした。