「知っている、心愛の眼鏡拾ってくれたんだろ?」

「あ、うん」

「ありがとな」

軽く微笑む優の姿に、私は釘付けになる。

「……」

その様子を、里音はじっと見つめていた。

「あの、話している所悪いんだけど」

「あっ、バカ兄」

「誰がバカ兄だ!」

「楓さん……」

楓さんは、ハッとしたようにかけている眼鏡に手をかけ少し上へと上げる。

「こ、これは失礼しました。皆さんこちらに来てください」

楓さんの後を、私達は付いて行くけど、正宗は逆に入ってきた扉へと向かった。

「正宗?行かないの」

「何で俺まで行かないといけないんだよ」

「でも正宗さん、皆さん集まっていますよ」

「いいよ別に、俺やる事あるし」

正宗はそう言うと、部屋から出て行った。

「ほら、行くよ蘭」

「う、うん」

里音に手を引かれ、私達は隣の部屋へと移った。