「まだ時間あるから、良かったら家に寄って行かない?」

「えっ?」

「えっ?って何よ?」

「いやだってお前」

正宗は、頬を少し赤らめて私から視線を逸らした。

「何処も行くところないんだから、家に来なよ」

「……。少しぐらいならいいぜ」

何でか私は内心ホッとしていた。

確か、紅茶あったよね?

それと、お兄ちゃんから貰ったケーキも少し残ってたと思うし。

そういえば、家に男の子招くなんて初めてかも。

そんな事を考えながら、私はマンションへと踵を返した。

その後を、正宗は嫌々で付いて来ていることに、私は気づかなかった。