「いえ。私、麻都佳柚希(まどかゆずき)って言います。まだ、鑑識の見習いなんですけど。」

麻都佳が照れたように舌を出した。

こんな仕草が世の男を虜にするのだろう。

「麻都佳ちゃんか。よろしくな。」

皆藤は麻都佳に微笑むと車を発進させた。

さっそく当麻に届けなければ。

ルームミラーに麻都佳の手を振る姿がうつっている。

「……なんか、彼女。苦手です」

真顔で富山が呟いた。

「なんでだよ?可愛いじゃねえか」

富山は首を横に振ると、もう一度ルームミラーをみた。

なぜか彼女は苦手だ。