「でも……和樹さんにはアリバイもありますし。やっぱり、犯人は香織さん……」

「悪いが、あいつにアリバイはないよ」

「えっ?」

思いがけない当麻の言葉に声を上擦らせてしまう。

「アリバイがないって……。脇田さんも言ってたじゃないですか!和樹さんは家にいたって……」

「よく考えてみろ。あいつと脇田さんは主従関係にある。和樹が口裏を合わせてるかもしれないだろ。第一、容疑者と身近な人物の証言は信じちゃいけないんだ」

「なぜです?」