「あの。」
「なんだ。」
「帰らないんですか」
「……やることがある。」
やることって何だ。
「でも何もやってませんよね」
ただ頬杖をつき、書類を見つめているだけだ。
「気にするな。俺は寝る」
当麻は机に突っ伏し、寝息をたてはじめた。
全く。おかしな人。
優衣が微笑んだところで、ガタン!と音がした。
玄関の方だ。
「誰!」
椅子から立ち上がると階段をかけ下りる足音がした。
玄関に行ってみたが、人一人いなかった。
「あの、社長……」
社長は寝息をたてて寝ていた。
はあっ、とため息をつき玄関のドアを閉めた。