面倒くさい。

さっさと本題に入ろう。

「今日、ここに伺ったのは松谷香織さんについてです。」

その瞬間、和樹の表情が曇った。

「……母さんなら昨日の夜から帰ってないよ」

和樹が消え入りそうな声で言った。

「昨日の夜から?」

「ああ。父さんは毎晩毎晩、女連れ込んで……。」
当麻の勘は当たっていた。
和樹は倉敷麗奈を知っている。